アグレッシブすぎるお産・最終ラウンド

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「最終ラウンド」

まだあるの??

と思った方、

まだ、あります。

引っ張り続ける私をお許しください…。

何故なら、

本当に乗り越えるべき壁は

出産の痛みなんかじゃなかった

から…。

アグレッシブすぎるお産・第2ラウンド
アグレッシブすぎるお産・第2ラウンド
見えない敵と戦いながら、 ようやく、リングへ立つ許可が下りた。 因み...

クリニックでの入院生活は5日間。

関西から義父母も駆けつけてくれ、

生まれたばかりの息子を抱っこしてくれました。

柔らかい、幸せな空気が流れている。

アロマより、ずっと癒される赤ちゃんの香り

「改めて、はじめまして。

ママですよ。パパですよ」

助産師さんから、おしめの替え方、沐浴、授乳方法などを教えてもらいながら、少しづつ新米ママパパとしての実感が湧いてきた。

同じく出産した方たちと一緒に指導を受けながら、初めは距離があったものの、食事を共にするうちに少しづつ仲良くなり始めました。

私が、このクリニックを選んだ理由の一つが

「豪華な入院食」

でした。

むしろ、それで決めたと言っても、過言ではない。

(↑胸を張って言うな!)

まさに、

ニンジン作戦

苦しみを乗り越えたら、

美味しいご飯が待っている!

基本的には、他のママさんと一緒に食堂で食べることになっていました。

同じ日に出産したママさんは、他に3名。

前後合わせて15人近くのママさんが一緒に入院していました。

ママさんは、新米ママさんもいれば、2人目3人目と言う、ベテランママさんも。

同じ苦しみを乗り越えた同志

美味しい栄養ある食事を一緒にするうちに、うち解け合い、出産トークに花が咲く。

そのうちの一人が、

「もう本当に、嬉しかった。可愛くて、またすぐにでも生みたい

と、言った。

私は、耳を疑った…

え?今なんて??

き、気は確かですか??

確かに、あの壮絶な痛みは、喜びに変わったよ。

でも、まだ下半身が麻痺した様な、お尻を突き出して、ガニマタ歩きをしている私に、その発想は全くなかった。

(す、すごい…世の中には、母性の塊のような人がいるんだ…)

そして、私が

「陣痛の痛みに耐えられなくて、大声出しちゃってたけど

みんなはどうしてたの?

自分以外の声、全く聞こえなかったんだけど…」

と聞くと、

「グッと痛みをこらえてたよ~」

「声に出すと、余計なエネルギー使うから」

と、教えてくれました。

(へ~!なるほど~。そういうやり方もあるんだ~!)

ってか、そんな事、可能なの??

内に秘めるとか…。

プリウスじゃん!!

めっちゃエコ。

それに比べて私は、

思いっきりディーゼル車

ガンガンうめき声を排気しまくってたよ…。

話をするうちに、

出産もママさんも、十人十色なんだな~

と、感じました。

日中は、こうしてママさんとの交流があったり、

母が毎日顔を出してくれ、お世話をしてくれることで

精神的にも安定した時間を過ごすことが出来ました。

けれど、夜になって

生まれたばかりの息子と二人きりになると

急に怖くなってしまう…

ちょっとでも、力を入れたら

簡単に折れてしまいそうな手足

首も、まだぐにゃぐにゃ

こんな、こんな小さな命を、

私は守る事が出来るのだろうか…

今まで犬や猫も飼った事がないのに…

(↑一緒にしている時点で間違ってる)

静かになると、

顔にお布団がかかっていないか心配になる。

ちゃんと息をしているかな?

おしめは大丈夫かな?

気になってしまい、全然眠れない…

明日は、小児科の先生が外来で来ることになっていた。

入院3日目。

いつもの様に、ママさんたちと一緒に、息子を預けて昼食を食べに食堂へと向かう。

そして、食後にお迎えに行く。

順番に、他のママさんからベビちゃんが引き渡される。

そして、私の番。

「きしださん、ちょっといい??」

と、助産師さんに呼ばれた。

「あのね、今、小児科の先生がいらしていて、ちょっとお話があるので来てください」

一瞬、背中がゾクッと凍りそうになった。

母の勘と言うか、

良いニュースではないな、

そう感じた。

心臓がバクバクだ

何を言われるんだろう…

「小児科医の○○です。どうぞ、こちらへおかけ下さい」

と、先生がご挨拶をされた。

先生:「お母さんも前から気にはなっていたと思うのですが、赤ちゃんの肌の色と色素沈着の事です」

私:「あ、はい…ずっと気になっていました…」

「私のいきみ方が間違っていたのかと思って…」

先生:「いや、それは大丈夫ですよ、お母さん。それが原因ではありません」

「実は、生まれてすぐに赤ちゃんの血液を採って、調べていたんです。先天性の異常がないかどうか…」

先天性???

異常???

う、うそでしょ…。

それって、もう治らないってこと????

ショック過ぎて、言葉が出てこない。

もちろんそんな状況で、いつもの様にメモ帳を持っているわけでもない。

しっかりしろ!!!

私、ママだろ!!!

そう自分に言い聞かせて、

先生の説明を、順番に頭の中にインプットしていく。

その病気は、ホルモン系の病気で、もし陽性反応が出たら、生まれて数日以内に薬を投与しなければならない。

初期の判断と治療が一番大切だと、説明を受けた。

いつもなら、絶対に覚えられない長い病名も、その場でしっかり頭に記録した。

今でも、漢字でその病名を書くことが出来る。

先生は、とても穏やかに、分かりやすく説明して下さった。

私:「もし、その病気だとしたら、どんな治療をするのですか?」

「一生治らないのですか?」

そんな事を聞いた。

先生:「見た目には分からないのですが、薬を飲み続けることになります」

「あと、激しいスポーツはできないかもしれません」

一生、薬を飲む??

スポーツができない???

その言葉が、さらに私の頭をゴーンと打ち砕く。

先生:「でも、今はまだ検査の段階で、決まったわけではありません。ただ、大学病院での検査結果に、少し時間がかかるかもしれません。明後日の退院に間に合わないかもしれないのです。それで、お母さんには、あらかじめ、きちんと説明をさせて頂きました。」

とおっしゃった。

私:「分かりました。先生、ありがとうございました。また、よろしくお願いします…」

喜びから一転、

目の前が、真っ暗になった…。

笑顔が消えた

心臓が、まだバクバクいってる。

なんで…

なんで、なんで???

そして、ベビちゃんルームに、一人残された息子を引き取りに行った。

部屋に戻って、息子をぎゅっと抱きしめた。

壊れそうなほどに、まだ細い手足。

口をパクパクあけて、こちらを見てる。

ごめんね、

ごめんね、

ごめんね…

ママになって、初めて泣いた

この時は、声を出さない様に

内にグッと秘めようとしたけれど、

やっぱり、泣き声は漏れていたと思う。

その時、やっと初めて気が付いた

五体満足で生まれることは、

当たり前のことではない

と言う事に。

そして、散々泣いた後。

どんな事があっても、

ママが必ずあなたを守るからね!

母親としての、覚悟を決めた時だった。

また、ぎゅっと息子を抱きしめた。

どこか浮ついていた気持ちや

怖くて不安に感じていた気持ちは

もう、そこにはなかった。

覚悟を決めた女は、強い。

きっと、こうして

母は強くなっていくんだ…。

それでもやっぱり、病室で息子と二人きりになると、胸が苦しくなった。

すぐに、母に連絡して、来てもらった。

母も、ショックだっただろう…

この先の事を一緒に考えながら

励まし合って、ずっと側にいてくれた。

息子は、まだ上手く出ないおっぱいを、必死に吸おうとしてくれる

生きようと、懸命になっている

その姿を見てたら、

私がクヨクヨしてどーする!

と、勇気をもらった。

覚悟は決めたけれど、

まだ希望は捨てていない。

検査の結果が出るまでは、

どっちに転んでもいい状態にしておこう。

翌日、また他のママさんと一緒に食事に行って、母乳指導を受ける。

そんな時、つい、他のベビちゃんを見てしまう。

私も一緒に退院したい…。

そう思ってしまう。

その度に、わが子を見て、

大丈夫だよ~。

ずっと一緒だからね…

と、心の中で声を掛ける。

本当は自分に言い聞かせてた。

そして、退院予定日(入院5日目)の日。

息子と同じ日に生まれたベビちゃんを抱いて、

ママさんたちが笑顔で退院していった。

私はまだ病室に残っていた。

両親も、息子も側にいてくれた。

大丈夫、大丈夫。

何とか、なる。

そんな時、助産師さんと小児科の先生が直接部屋に来て下さった。

少し、息が切れている。

「今、検査結果が出たと、病院から連絡が来ました!」

と。

私:「そうですか、で、結果は?」

ゴックン…固唾を飲み込む

先生:「陰性と出ました!」

「もう、大丈夫ですよ」

は~~~~~っ。

良かった…

ありがとうございます!!

一気に、肩の力が抜けた。

側にいた母は、泣いていた…。

この2日間、全然眠れなかった

食いしん坊の私でも、

さすがに食事が喉を通らなかった…

胸が張り裂けそうな思いをしたけれど、

この経験が、私を強くしてくれた。

先生に感謝すらした。

大切な事を、教えてくれた。

一番乗り越えるべき壁、

それは、

母として、

覚悟を決める事だったんだ…

もしかしたら、場合によっては、結果が出るまで、私に話さなくていい事だったかもしれない。

けれど、適切な判断で処置をして下さり、

正直に、過程を知らせてくれた先生と助産師さんに心から感謝した。

そして、退院予定日の午後、

無事に退院することができました。

先生と助産師さんが、笑顔で見送ってくださいました。

(ここで産んで良かった…)

「ありがとうございました」

深々とお礼をして、息子を抱っこして外へ出た。

まだ抱っこする姿もぎこちない。

お日様の光を眩しそうにしながら、

目を閉じてスヤスヤ気持ちよさそうに眠っている。

2月の冷たい風が心地よく感じた。

毎年、息子のお誕生日を迎える度に、

その事を思い出します。

思い出すようにしている、が正しいかな。

今でも試行錯誤しながらの育児。

これで合っているのかどうか…

不安になる事もたくさんあります。

けれど、

息子が元気でいてくれる事

それが、一番。

そう思うと、気持ちがふっと軽くなる。

どんなママさんも、不安と痛みを抱えて出産されてきたと思います。

私は、

「お母さんってすごい」

そう思っています。

自分が母になって、初めて気が付くことがたくさんある。

親の気持ちが、理解できるようになりました。

それ以来、自分のお誕生日には、両親に

「生んでくれてありがとう」

そう、伝えています。

ちょっと恥ずかしいけれど、

その言葉が一番嬉しいと、分かるから。

いつか息子も、そんなこと言ってくれる日が来るかな…。

因みに、息子の肌の色素沈着…

それは、

まさかの

「色黒」

( ̄◇ ̄;)エッ…。

だっただけ、の事だそうで…。

何度も、本当に異常はないのか聞きましたが、

ただ、それだけの事らしいです。

先生も、苦笑いされておりました。

恐らく、今までにないケースだったのでしょう。

まさか、こんなオチがあったとは…。

生まれてすぐ、ネタを作ってくれた息子。

でもね、そんなあなたが愛おしいよ。

それに、どんな時でも

あなたを守る覚悟は、もうできてるよ!

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最後まで読んで下さり、ありがとうございました。