アグレッシブすぎるお産・第2ラウンド

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見えない敵と戦いながら、

ようやく、リングへ立つ許可が下りた。

因みに、

見えない敵とは、痛みの事で

リングとは、分娩台の事です。

アグレッシブすぎるお産・第1ラウンド
アグレッシブすぎるお産・第1ラウンド
2011年2月11日。 息子が生まれた日。 私がママになった日、でもあり...

主人と助産師さんに両腕を抱えてもらいながら、分娩室へ入る。

既に憔悴しきっているけれど、

やっとこれからが本番。

ここまで来たら、後は全力で

出す!!!

それしかない。

例外など、ない。

3人の助産師さんが、分娩の支度をしていました。

そのうちの1人が、

「あ、ビデオ撮ります?この場所が良いですよ~」

と、主人にビューポイントを伝えている。

「絶景かな、絶景かな」

(↑使い方間違ってる?)

一体、どれ位の人が、このポイントで撮影をしたのだろう…。

もちろん、当時はそんなこと考える余裕などなかったけれど、今思うと随分面白い会話だなと…。

「ご主人、背が高いわね~、いくつぐらいあるの?」

なんて、世間話が始まるほど、

リング上にいる私以外、みなさん穏やかだった。

そんな会話が、冷たい無機質な空間を、温かく包み込んでくれた。

さすがベテランさん達だ。。。

一方、私はと言うと

話は聞いていながらも、分娩の「傾向と対策」を頭の中でもう一度シュミレーションする。

頭の中は、ガッチガチで、

変に力が入っていた。

おい、おい、

センター入試でも受けるのか?

ってくらい…。

メインの助産師さんが

「大丈夫よ~。今はまだ、力を入れなくていいからね。タイミングがあるから、いきんで~!って言ったら、力いっぱい押し出す感じでね~」

と、アドバイスを下さる。

1人の助産師さんが、

私の足をガバッと開く。

ここまできて、

「恥ずかしい」

なんて感情は微塵も無い。

もう、彼女は私の全てを知っているのだから…。

そして、もう1人の助産師さんが、私の手を握りしめる。

私もグッと握り返す。

「もう、あなただけが頼りです…。」

1日にして、厚い信頼関係を築いた。

チーン!

さあ、試合開始の合図。

「できるなら、一発でKO勝ちして終わらせたい!」

「延長戦とか、ほんと勘弁!!」

そんな気持ちで、臨んだ試合。

(↑どれだけ自分勝手)

助産師さんの言う通りに呼吸を合わせて、リズムをとる。

早く終わらせたい気持ちが先走り、つい力が入ってしまう。

助産師:「ほらほら、肩の力抜いて~リラ~ックスね」

「はい、息を吸って~」

ふ~~~っ

助産師:「はい、いきんで~!!!!!もっと、もっと!!!!そうそう、上手だよ~!!!」

う~~~~っ!!!!

ドリャーーーーーッ!!!!

サイヤ人*画像お借りしています

 

体中の血管が浮き出る

頭から湯気が立ちのぼる

 

主人曰く、あの姿は

 

「まるでスーパーサイヤ人」 

だったと…。

 

因みに私の母は、出産時、いきみすぎて踏ん張り棒(グリップ)を破壊したらしい…。

スーパーサイヤ娘の母は、破壊王

 

 

陣痛の波に乗りながら、

ベビちゃんも、狭い産道を一生懸命に出ようとしている。

私なんかより、もっともっと苦しい思いをして…。

 

 

陣痛が遠のかない事だけを祈って、

何度もリズムを合わせるけれど、

気持ちだけが先走る…。

ベビちゃんはまだまだ出てこない…

 

は~っ…

まだかぁ…

 

次第に酸欠で、頭もぼ~っとしてきた…

意識がもうろうとする中、

 

助産師さんが、

「さぁ、もう一回いくよーっ!!!」

と、声を掛けた。

 

その声が、

 

「立つんだ!立つんだ、ジョー!!!」

 

に聞こえてくる。

いつの間にか、助産師さんが丹下段平に…

 

丹下

*画像お借りしています

 

大きく息を吸い込んで、

もう一度、下半身に力を入れる。

重ねて、先生がお腹をグッと押さえる。

 

 

「もうすぐだよ~、もう頭が出てるよ~!」

「頭大きいね~、もうひと踏ん張り!」 

 

よっしゃ~!!!

 

その言葉を聞いた途端、希望の光が見えてきた。

 

助産師さんの腕を、止血しそうなほど握りしめる。

 

もう、これで終わりにしたい!!!

 

深呼吸して、

 

一気に

 

ん~~~~~~~っ!!!

 

体中の血液が頭にのぼって

今にも

プッツン…

って、切れそうだった。

 

シュワシュワ~ ( ゚д゚)ポカーン

上から下まで麻痺状態になった所で

 

「よくがんばったね~!!!!おめでとう!!!!」

 

両脇にいた二人の助産師さんが、私の体をさすってくれた。

 

助産師さんが、手早くベビちゃんをきれいに拭いてくれている間に

 

ンギャ~ンギャ~~~~!!!!

 

産声が上がった!!!

 

ー試合終了ー

 

2月11日15時53分。

分娩台に上がって、約50分後。

3175gの男の子が誕生した。

 

 

初産にしては、とてもスムーズだったよと、お褒めのお言葉を頂き、

私の胸の上に

そっと、ベビちゃんを乗せてくれた。

 

やっと、やっと、会えた…

 

あなたが宿ってからの10か月、

今か今かと、ずっと待ってたんだよ。

この日を、ず~っと。

 

ベビちゃんとの初対面は

 嬉しくて、嬉しくて、

こんな時でも、私は

 

大きな口を開けて、

笑っていた…

 

感動して、泣いたりするのかな?

そう思っていたけれど、

不思議と涙は出なかった。

 

無事に生まれてきてくれたことに

ただ、ただ安心した。

 

生まれてきてくれて、ありがとう

 

この言葉以外、見つからなかった。

 

あんなに痛かった陣痛も、後産の処置も

この子を抱きしめたら

いつの間にか、どこかへ消えていった。

 

「赤ちゃんって、それだけの力を持ってるんだ」

 

けれど、1つだけ…

ちょっと気になる事があった。

 

(どうして、あんなに真っ青なんだろう…)

 

(赤ちゃんって、もっとピンク色とか赤い、よね?)

 

生まれて初めて抱いた時、

元気に泣いてはいるものの、

息子は青白かった。

 

(私のいきみ方が、間違っていたのかな…)

(ちゃんと酸素が届かなかったのかな…)

 

私の、せい??

 

そんな不安な気持ちが、一瞬よぎった。

 

けれど、 

先生も助産師さんも、何も言わない。

 

助産師さんが、

「手足も大きくて、ほんとにしっかりしてるよ!」

 

その一言を聞いて、とりあえず、安心した。

 

今はただ、喜びに浸りたい。

 

処置を終えて、主人に連れ添ってもらい、自室へと戻った。

東京に住んでいる妹も、タイミングよく友達の結婚式の帰りに駆けつけてくれた。

 

みんなに見守られて、

生まれたんだよ。

 

落ち着いた所で、みんなでベビちゃんの様子を見に行ってみると

お風呂に入れてもらって、スッキリした顔で眠っていた。

顔色も、さっきより、ほんのりピンクっぽくなっていて安心した。

  

目をつぶっていて、

主人と私、どちらに似ているのか分からない。

 

「どっち似だろうね?」

 

そんな話をしていると、すこ~しだけ、目をうっすら開けた

 

「あ、一重だ・・・」

 

その瞬間、確定した。

 

主人だ…

 

母が、

「いいよ、いいよ、ちゃんと元気に五体満足で生まれてきてくれたんだから」

と言った。

 

何のフォローか分からないが

とにかく皆が同じ気持ちだった。

 

初日からベビちゃんと眠る事が出来るけれど、

昨日から寝不足だったので、今日は預かってもらう事にした。

 

そして、一人で眠る最後の夜。

 

私、ついにママになったんだ…。

 

眠いはずなのに、興奮して、その日はなかなか寝付けなかった…。

 

ところが、安心したのもつかの間。

3日後、その喜びが、一気にどん底へと変わるなんて、その時は思ってもみなかった。

 

つづく

 

今日も読んで下さり、ありがとうございました。