海の向こうで暮らしてみたい⑮~モデルへの道~

image

スナップ写真として撮ったもの

前回の続きです。

海の向こうで暮らしてみたい⑭~モデルへの道~
海の向こうで暮らしてみたい⑭~モデルへの道~
  前回の続きです。 エージェントのオーナーと握手を交わし、契約...

セキュリティの関係上、オフィスビルの入り口で暗証番号のキーを押してから入る仕組みになっている。

あらかじめメールで案内された番号を押す。

ブザーが鳴り、ドアフォンから女性の声が聞こえた。

簡単に名前と、約束した時間を伝える。

「どうぞ」

と言われたと同時に、正面のドアの鍵がカチャと開いた音がした。

扉の横には、大きな鏡があった。

そこで、もう一度にっこりスマイルを作ってみる。

前回と同様、ここまで来たら、焦った所で仕方ない。

それに、一社のエージェントとは契約できたのだから、気楽にいこう。

ここ、アメリカでは、複数のエージェントに所属するモデルさんが多い。

エージェントによってクライアントも仕事の内容も違ってくる。

 ゆっくりと、扉をノックする。

中から、大柄な男性が出てきた。

右手を差し出し、笑顔で自己紹介をする。

相手の目を合わせ、こうして手を差し出すことも随分自然にできるようになったなと思った。

「ようこそ!どうぞ、こちらへ入ってください」

男性は、オフィスの奥にあるソファへと案内してくれた。

そんなに広くはないけれど、6名ほどのスタッフが働くにはちょうどいい大きさだった。

前回面接を受けたエージェントは、スタッフの方が女性ばかりだったけれど、今回は男性が2人働いている。

グレーに塗られている壁には、モード系のモデル写真が並んでいた。

オーナーが男性だからか、全体的にクールな印象のオフィスだった。

案内された所に行くと、ドレスを着た可愛らしい女の子がお父さんと一緒に座っていた。

まだ3,4歳ほどの女の子。こんな小さい子でも、しっかり堂々としているなあ・・・と、感心してしまった。

待っている間、前回のエージェントと同じように、個人情報を書く紙を渡された。

書いている間に、あと2組の女性がやってきた。

10代の女の子とその子のお母さん、50代位だろうか?白髪交じりの女性だった。

年齢、人種、それぞれが持っている雰囲気、

ここに集まった人達は、私を含め全員が

「違う」

コマーシャルモデルは、その「違い」が必要とされるのだなと感じた。

先ほど案内してくださった男性から、

「これを皆さんでシェアして読んでおいて下さい」

 と、5枚ほどの用紙を渡された。

とりあえず、ざっとそれぞれの用紙に目を通してみる。

んんん???

これは、CMなどのセリフではないか?

 つまり、台本ってこと?

コーンフレークや、バーゲンをPRするモール、他にもよくCMで聞くようなセリフが並んでいる。

そういえば、簡単なオーディションって言っていたけれど

それってこれのこと?

面接の前にこれを全部覚えろだなんて、

絶対に無理~(汗)!!

(゚∀゚;)ヤ・・・ャバ

ただでさえ、物覚えが悪いと言うのに…

想像してみて下さい。

コーンフレークやショッピングモールのディスカウントCMで、ゆっくり喋っている人など見かけた事(聞いた事)がない。

元気ハツラツ、人々の気持ちを盛り立てるように、早口でリズムがある。

そんなセリフ、その場で私が言ったら…

まず、噛むよね!

間違いなく…

う~ん…日本で言ったら「AC(公益社団法人)的」な、ゆったりとした、語り掛けるようなセリフはないかなぁ…。

と、探してみる…

う~…ない。

これも、元気ハツラツ系だ…。

これはどうかなぁ…

あ、あった~!!!

ヤッタ━─━─ヽ(´∀`。)ノ━─━─!!!

奇跡の1枚(笑)

どうやら、「家族」を扱った内容のセリフだ。

これなら、私でもゆっくりと、表情をつけながら読むことが出来そうだ。

待っている5分間の間に、ぶつぶつ言いながら必死に覚える。

そちらに集中しすぎて、用意していたQ&Aを忘れそうだ。

けれど、実際に仕事となると、こんな事が当たり前であって、好きなセリフを選べるなんて、無いだろうな…。

もっと、英語をスキルアップしなくてはいけない…。

「Chiho, Please come 」

先ほど案内された男性に名前を呼ばれて、持参したレジュメとスナップ写真を渡した。

先ほどまでデスクで働いていたスタッフ全員が、面接用に並べられた椅子に座っていた。

その正面には、スポットライトが当てられ、そこに立つように指示をされた。

思ったより、本格的な面接だった。

前回の面接では、オーナーとこじんまりした部屋で会話をする感じだったのに・・・

同じ業界でも、全く違う。

スタッフひとりひとりから、質問を受けた。

「モデルとしての経験はあるか?」

「ランウェイを歩いたりしたことは?」

「どうしてミネソタに来たの?」

「どんな仕事をしていたの?」

他にもいろいろ聞かれたけれど、決して「落とす」為の面接ではなく、もし私が採用されたとしたら、どの様に使えるか?と言う視点で、審査してくれたように感じた。

久々にスポットライトを浴びて(大学のシェイクスピア劇部以来)、なんだか心地よかった。

緊張はするけれど、

(やっぱりこういうの、好きなんだな)

って思った。

そして、先ほど渡されたセリフを読んでみて、と言われた。

こういう時のポイントは、間違えてもいいから、紙を見ないふりをする事だ(と思ってる)

多分、スタッフの方は話している内容よりも、声のトーンやこういう場での「度胸」をチェックしている様な気がするのだ。

カンニングはチラっと一瞬だけ。

ひとりひとり、スタッフ(面接官)の目を見ながら、語り掛ける様に、笑顔でゆっくりと丁寧に喋った。

セリフを読み終えて、

フ~ッ!!と息を吐きながら、素直に「緊張しました」と、伝えた。

「とても、丁寧に、心を込めて読んだことが伝わったわ」

「声が良いから、英語ー日本語の吹き替えなどの仕事もできるかもしれない」

スタッフの方々から、嬉しいコメントを頂いた。

「そんな仕事もあるんですね。知りませんでした」

「いろんなお仕事に挑戦したいと思っています」

そう意気込みだけは伝えた。

1人の男性から、

「では、また後日、メールでお伝えします」

そう言われた。

(この場では、結果が出ないんだ…)

ここでも、前回のエージェントと採用の通達が全く違った。

というか、こちらの方が採用テストは普通なのかもしれない。

どちらにしても、今自分が出来る事はやった。

スタッフの方々の反応も良かった気がするし…

多少の手ごたえを感じながら、皆さんに挨拶をしてオフィスを後にした。

なんだかとても、晴れ晴れした気持ちになった。

前日は眠れなかったり、セリフを覚えるのも大変は大変だったし、緊張したけれど…

何かにチャレンジできる環境が嬉しかった。

と言う事で…

第2ミッションクリア!!

次は、HP用の写真撮影へ。

場所は、同じダウンタウンのエリアにある。

事前に指示された通り、スッピンで行かなくてはならない。

プロのヘアメイクがついて、セットをしてくれる事になっている。

先ほど立ち寄ったカフェへ戻る。

と言うのは、カフェが入ったオフィスビルのお手洗いが、広くて綺麗だったから。

あの時、お手洗いをチェックしておいて良かった…。

どんな洋服を着たらいいのかな?

どんなヘアメイクをしてくれるのだろう…

どんな写真を撮ってくれるのだろう…

これもまた、未知の世界。

ゆっくりメイクを落としながら、気持ちを切り替える。

さて、夜逃げセットを持って(笑)

第3ミッションへ出発!!!

つづく。

今日も読んで下さり、ありがとうございました。